ドクターからの説明1.軟骨無形成症という病気の説明・河原仁志先生
 

■軟骨無形成症という病気の説明

国立療養所松江病院小児科
河原仁志

身長が伸びるためには骨が成長することが必要です。
骨が成長する仕組みは、骨の両端にある成長軟骨という部分が大きくなり、徐々に骨に換わっていきます。
軟骨無形成症は、この軟骨の成長に障害があり、骨が伸びにくくなる病気です。したがって、手足が短く、低身長になってしまいます。また頭の骨や背骨の成長障害により身体の変形やその他の症状(後で述べます)の原因となります。

なぜ障害がおこるのかというと、軟骨の成長に重要な役割をもつ遺伝子の変化が起こっているからです。この変化の多くは突然変異というできごとにより起こります。しかし、遺伝子の変化が親から子に伝わる場合もあります。

軟骨無形成症は、生後間もなく身体的な特徴と骨のレントゲン撮影により診断されます。同じ様な症状を来す疾患もあり、正しい診断が大切になります。
乳幼児期には、身体が柔らかくて運動発達の遅れを示すようです。この時期に独りすわりを早く実現しようとして無理をすると、背骨の変形を招いてしまうことが心配されています。また乳幼児期に、骨が脳や神経の束である脊髄を圧迫して、呼吸障害や手足の麻痺などを生じることもあります。こういった障害が起こった時には緊急的処置が必要で、脳神経外科や整形外科の医師にお世話になります。
顔の骨の発育が悪く、空気の通路が狭く睡眠時に呼吸がしづらくなってしまうこともあります。いびきをかくのが多いのも同じ原因です。
子どもの頃には、アデノイドや扁桃腺が大きすぎて、さらに空気の通路が狭くなり呼吸の状態を悪くする場合もあります。睡眠中の酸素濃度を指につけたモニターで測定したりして、呼吸障害の程度がわかります。心配な時は医師に相談して検査を受けられることをお勧めします。また同様な原因で中耳炎になりやすく、治りにくいようです。耳鼻科通いが長くなってしまいますが、焦らずにキチンと治します。

手足が短く、低身長のため生活上の多くの困難が生じます。この解決には、社会はいろいろな人で成り立っていることを理解して、誰もが使いやすい物や構造にする努力(バリアフリー、ユニバーサルデザイン)が必要です。そういった考え方を広げることは重要ですが、患者さん、家族がお互いに情報交換したり、助けあい、生活を楽に充実させることもまた大切なことです。
育児や教育、生活全般など一人で悩まずに仲間で助け合いましょう。遠慮は要りません。どんどん相談して、解決策を皆で考えましょう。

どうしても成人になると病院から遠ざかってしまうことが多いのが現状です。でも睡眠時の呼吸障害や膝や腰などの痛みなど成人になってからも問題となる障害も多いのです。信頼できる主治医を決めて、できるだけ相談するようにしてください。

一人で悩まないで、医師、先生、行政そして仲間で支え合って、個性的な人生を楽しめるようにしていきましょう。

 

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